作：はと（HARUKAZE）
第三話「鳴海兎亜×夕莉シャチ」の場合
ん……どこからともなく良い匂い
……？
見つけた。あの人から、良い匂い
こんにちは
…………（警戒）
こちら、クッキーです。お近づきの印にどうぞ
…………（警戒）
海鮮パエリアもご用意していますよ。よろしければ召し上がってください
いいの？
ええ、そのために作ったのですから
それじゃあ遠慮なく
どうでしょう
ん、おいしい……すごく
気に入っていただけて良かったです
でもひとつ残念なことが
なんでしょうか？
イモがない……
イモ……？
神が許した人間に与えられし最大の特権。それはイモを食べること
おイモですか
じゃがいもの万能さは類を見ないほど。煮てもゆでても揚げても最高
なるほど
そんな、食卓を支えるイモがなくて、少し残念
これだけおいしい料理だし、そこに至高の食材が加われば天下一品
そうでしたか。あいにくじゃがいもは切らしていまして
……無理にとは言わない。パエリアすごく美味しいから
じゃがいも、買いに行きましょうか
！！ んー……
どうしました？
動くの面倒……でもあなたが作るじゃがいも料理も食べてみたい……悩ましい
歩くのが面倒、ということでしょうか？
そうとも言う。抱っこしてくれたら、一緒に行く
なるほど。構いませんよ
いいの！？ ダメ元で言ったのに？
さ、どうぞ。いらしてください
（抱かれ）ん……あったかい……寝ちゃいそう
いいですよ。お店に着いたら起こしますから
それじゃあ…………すー……すー……
ふふふ。子どもみたいですね
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